STEP1 Setting(設定)
(1)ケージ
先ず購入したタネ親は,市販のプラケースに移して下さい.この場合用いるプラケースは350mm×200mm×250mm程度の大きさものが使用し易いです.なお,育成の項でも述べますが,いずれ衣装ケースが必要です.
(2)床材
多くの方が,床に赤玉土やピートモスの様な床材を敷き詰め,そこを湿らせて飼育していると思います.これらは,よく爬虫類の飼育書の「生き餌の殖やし方」の項に載っているスタイルです.一見良さそうに思えるこのスタイルでは,確かに始めの頃は,床材にバンバン産卵し,そこから子供が次々と孵る光景が見られることだと思います.しかし,それも長続きはしません.まず,床材が湿っているために,コオロギの排出する糞も湿り,それが腐敗してとんでもない悪臭を放ち始めるのです.また,餌を折角あげても高い湿度のためにすぐにカビてしまうことになります.その中に,孵った子供がひしめくことになるわけで,当然子供の生長は良くならず,いつまで経っても子供が大きくならない様になってしまうのです.その様な段階に陥ってしまうと,コオロギなんかやってられないという気持ちになり断念してしまうパターンが非常に多いのです.本ページを見た方は,この様な課程を踏むことはありません.では,床材はどうすれば良いのでしょうか?結論から申しますと,床材は敷いてはいけません.その替わりに,短冊状に切った新聞紙を入れて下さい.ただし,その短冊を作るにもちょっとしたコツがあります.作り方は次の通りです.
(3)餌
餌に関しては,各人様々なもの試しておられると思います.野菜にキャットフードが良いと言う方,ニワトリの配合飼料が良いと言う方等様々だと思います.それぞれに一長一短があるわけですが,当社では家庭で衛生的に飼育する場合を想定して,何が良い餌なのかをお答えしたいと思います.
まず家庭で飼育する場合は,臭いが大変問題となります.臭いの原因となるのはアンモニアです。従って、このアンモニアを如何に出さないようにするかと言うことがポイントになってきます。
アンモニアはタンパク質等の窒素化合物を食べることによって生じるわけですので、タンパク質の少ない餌を与えることが効果的です。ただし、タンパク質含量が少なすぎると、コオロギ同士の共食いが始まってしまうために適度なタンパク質も必要です。これらを考慮すると、適切な餌はズバリ「和鳥用のすり餌3分」です。この餌は、孵ったばかりの小さなコオロギでも食べることができる上、どこでも手に入れることができます。なお、「3分」というのは、穀物の粉等の植物質が7割に対して魚粉や蛹粉の動物質が3割入っているという意味です。従いまして、「5分」や「7分」というのもございます。もしも、共食いが目立つようでしたら、「5分」や「7分」を与えるのも効果的ですが、弊社では幼体から成体まで一貫して3分をやっていて問題がでたことはありません。すり餌は大量に与えすぎると残った餌がかびることがあるので注意して下さい。また、「ハイペット」社のすり餌はよろしくありませんので使わない方が賢明です.
一部のページで、スリエは植物質なので良くないのではという記事を見ましたが、コオロギの食性から考えて、動物質の餌を多量に与える必要はありません。野生のコオロギが、頻繁に動物質をとっていると思われるでしょうか?熱帯魚の餌のように動物質の蛋白が豊富に入っている餌をあげると、本来の食性とは違うため、あまり良い結果はでませんのでご注意下さい。
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あると便利な柄の長いスプーン |
餌をまめに与えるのが面倒な方は,モルモット用のフードを併用することをお勧めします.この餌は非常にかびにくく,堅いためすぐに食べきられないことから長持ちします.これにより,コオロギを飢えで苦しませることが防げるという訳です。
良い餌としてどうしても紹介しておきたいものがもう一つあります.それはカボチャです.この餌は腐りにくく栄養満点で適度な水分も保持している優れものです.実際カボチャをやると生長が大変良くなります.時期を選べばコスト的にも安く済みますので,一度試してみるのも良いかと思います.ただし,やりすぎは禁物です.
無印良品から過去に発売されていたものですが、現在は別のタイプになってしまいました。
餌を与える皿についてですが,これも大変重要です.特にコオロギが幼体の場合は,餌皿がプラスチックでできたものであると滑って餌にたどり着くことができません.かといって紙等を敷いて餌を与えると,餌が飛び散ってしまい非常に不衛生になってしまいます.滑らない餌皿としてお勧めできるのは素焼き製の植木鉢の受け皿です.これは大変良くできたものでして,深さもあまり深くなくコオロギがすぐに這い登って餌にありつくことができます.特にお勧めの鉢の受け皿は,「無印良品」からでている受け皿だったんですが、現在タイプが変わってしまって、良いものがなくなってしまいました。
(4)水
臭わない飼育法および手のかからない飼育法をとる場合に最も重要となるのが水の与え方です.殆どの飼育書には,霧吹きを毎日やるか小さな容器に脱脂綿やティッシュを濡らしたものを入れると書いています.なるほど,水はそうやって与えれば良いのかと実行してみるととんでもないことになります.
先ず霧を吹いてやると当然餌にもかかってしまいます.こんなことをした暁には,餌はカビだらけになってしまうことは目に見えています.それにコオロギの排出した糞が湿ることにより、糞中に残っている窒素化合物がアンモニアと化し、悪臭を発生させてしまいます。ましてや霧を毎日吹くということはどれだけ面倒なことか分かりません.
脱脂綿やティッシュを置く方法も,一見良さそうに思えますが,コオロギの格好の産卵床となってしまいます.勿論それを利用してもいいのですが,必ずと言っていい位その部分がコオロギの足に付いた餌や糞で汚れてしまい腐敗してしまいます.こまめに交換できる人は良いでしょうが,私どもの経験からいってお勧めできる方法とは言えません. 以上の点から,弊社ではどの様に水を与えるのがベストであるかを試行錯誤いたしました.そして次のような自動給水器を考案しました.
給水器に群がるコオロギ。
(5)保温
温室を持っている方は全く問題がないでしょうが,持っていない方はぴったり適温やトリオのパネルヒーターをお勧めします.ヒヨコ電球やバスキングランプは火事の恐れがあるので,使わないようにして下さい.
適温は25〜30℃位です.温度は高い程早く成長し,低いと生長が遅くなります.これを上手く利用すれば,自分の欲しいサイズのコオロギを長くキープすることが可能です.
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